大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(ネ)1574号 判決

東京地方裁判所が同庁昭和二十三年(ヨ)第三〇八四号仮処分申請事件について同年十二月十五日なした仮処分決定中「債務者(控訴人)は債権者(被控訴人)の別紙目録記載の建物の使用を妨害してはならない」との部分を認可する。

右仮処分決定中「執行吏は右命令の趣旨を公示するため適当の方法をとらなければならない。」とある部分を取消す。

訴訟費用は第一、二審共控訴人の負担とする。

二、事  実

控訴人は「原判決を取消す、東京地方裁判所が同庁昭和二十三年(ヨ)第三〇八四号不動産仮処分申請事件につき昭和二十三年十二月十五日なした仮処分決定を取消す。被控訴人の本件仮処分申請を却下する。訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人訴訟代理人は、控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の陳述は、控訴人において「原判決事実摘示中控訴人の主張として(記録第一〇八丁裏二行目以下)、仮りに仮処分決定のなされた当時、債権者に占有があつたとしても、債権者は現在においては右建物を占有していないのであるから、事情の変更があつて仮処分の理由は消滅している。と恰かも事情変更による仮処分の取消を求める申立をしたような記載はあるが、控訴人は本件において仮処分決定に対する異議を主張するものであつて、事情変更ないし特別事情による仮処分の取消を申立てる趣旨でない。」と釈明した外は、原判決事実摘示と同一であるから、ここにこれを引用する。

<立証省略>

三、理  由

本件仮処分決定の当否につき原判決の説示するところは、後記一部取消の部分を除いて正当であるから、この点に関する当裁判所の判断としてこれをここに引用する。当審でなされた新たな証拠調の結果によるも右判断を左右するに足らない。

ただ原判決は、さきになされた仮処分決定を全面的に認可しているけれども、右仮処分決定中主文第二項掲記の如く、債務者に対し債権者の占有を妨害することを禁止した単純な不作為を命ずる仮処分にあつては、右決定を債務者に送達することにより直ちに効力を生じ、これによつて執行の目的を達するものであつて、かの占有を執行吏に移転した場合の如く第三者にその旨を公示するようなことは無意味であるし、またその必要も見ないのである。(東京高等裁判所昭和二十七年六月二十四日第一民事部判決参照)してみると前記仮処分決定中主文第三項掲記の部分は、法律上全く無意味であるのみならず仮処分の必要の範囲を超えたものと認めざるを得ないから、この部分に限り失当として取消すべきである。

よつて上記仮処分決定を全面的に認可した原判決を主文第二、三項記載の如く変更すべきものとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条、第九十二条、第九十六条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 斎藤直一 菅野次郎 坂本謁夫)

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